退去立会いの進め方とチェックリスト
退去立会いは、原状回復費用の負担区分を決める重要な場面です。「立会いで何を確認すればいいかわからない」「後からトラブルになることが多い」とお悩みの管理会社様も多いのではないでしょうか。この記事では、退去立会いの基本的な流れから、確認すべきポイント、すぐに使えるチェックリストまで詳しく解説します。
退去立会いとは?目的と重要性
退去立会いとは、入居者が退去する際に、管理会社(または貸主)と入居者が一緒に物件の状態を確認する作業です。原状回復工事の範囲と費用負担を決める重要な機会となります。
📊 退去立会いの目的
- 物件の状態確認:損耗・汚損・破損の有無を入居者と一緒に確認
- 負担区分の合意:貸主負担か借主負担かをその場で確認・合意
- トラブル防止:後日「言った・言わない」の争いを防ぐ
- 鍵の返却:すべての鍵を回収し、退去を完了させる
立会いを丁寧に行うことで、敷金精算のトラブルを大幅に減らせます。入居者にとっても、その場で状態を確認できる安心感があります。
退去立会いの流れ
退去立会いは、以下の流れで進めるのが一般的です。所要時間は30分〜1時間程度が目安です。
1挨拶・趣旨説明(5分)
入居者に立会いの目的と流れを説明します。「一緒にお部屋の状態を確認させていただき、原状回復の範囲を確認します」と伝えましょう。
2室内の確認(20〜40分)
各部屋を順番に回り、壁・床・天井・設備の状態を確認します。損耗箇所はその場で入居者に説明し、写真を撮影します。チェックリストに記録しながら進めましょう。
3負担区分の説明・合意(10分)
確認した損耗について、貸主負担か借主負担かを説明します。ガイドラインに基づいた判断基準を伝え、その場で合意を得ます。
4確認書への署名(5分)
確認内容を記載した書面に、入居者の署名をもらいます。後日のトラブル防止のため、必ず書面で記録を残しましょう。
5鍵の返却・退去完了(5分)
すべての鍵(スペアキー含む)を回収します。鍵の本数を確認し、不足があれば交換費用について説明します。
立会い前の準備
スムーズな立会いのために、事前に以下の準備をしておきましょう。
📁 持参する書類・道具
- 入居時の物件状態記録(写真・チェックシート)
- 賃貸借契約書のコピー
- 退去立会いチェックリスト
- 退去確認書(署名用)
- カメラまたはスマートフォン
- メジャー、ペンライト
✅ 事前確認事項
- 入居者の連絡先(当日連絡用)
- 入居期間の確認(経年劣化の判断に必要)
- 契約上の特約事項(ペット・喫煙など)
- 鍵の本数(契約時に渡した本数)
- 残置物の有無(事前に撤去を依頼)
箇所別チェックリスト
以下のチェックリストを参考に、各箇所を漏れなく確認しましょう。
🚪 玄関・廊下
- □ ドア本体の傷・へこみ・汚れ
- □ ドアノブ・鍵の動作確認
- □ インターホンの動作確認
- □ 下駄箱の状態(棚板の傷・臭い)
- □ 玄関タイル・CFシートの汚れ・傷
- □ 廊下のクロス・床の状態
🛋️ リビング・居室
- □ 壁のクロス(汚れ・傷・剥がれ・タバコのヤニ)
- □ 天井のクロス(汚れ・シミ)
- □ 床材(傷・へこみ・汚れ・変色)
- □ 畳の状態(焼け・シミ・傷・へたり)
- □ 襖・障子(破れ・汚れ)
- □ 窓・サッシ(動作・汚れ・パッキン)
- □ 網戸(破れ・たわみ)
- □ カーテンレール(破損・動作)
- □ エアコン(動作・汚れ・リモコン)
- □ 照明器具(動作・破損)
- □ コンセント・スイッチ(動作・破損)
- □ 収納内部(棚板の傷・汚れ・カビ)
🍳 キッチン
- □ シンク(傷・サビ・汚れ)
- □ 水栓(動作・水漏れ)
- □ コンロ・IH(汚れ・焦げ・動作)
- □ 換気扇・レンジフード(汚れ・動作)
- □ キッチンパネル・タイル(汚れ・傷)
- □ 収納扉・引き出し(傷・動作)
- □ 床(油汚れ・傷)
🛁 浴室
- □ 浴槽(傷・汚れ・変色)
- □ 壁・床(カビ・汚れ・傷)
- □ シャワー・水栓(動作・水漏れ)
- □ 鏡(曇り・ウロコ汚れ)
- □ 換気扇(動作・汚れ)
- □ 排水口(詰まり・汚れ)
- □ ドア・パッキン(カビ・傷・動作)
- □ 給湯器リモコン(動作)
🚽 トイレ
- □ 便器(汚れ・傷・黄ばみ)
- □ 便座・ウォシュレット(動作・汚れ)
- □ タンク(水漏れ・汚れ)
- □ 床(汚れ・シミ)
- □ 換気扇(動作)
- □ ペーパーホルダー・タオル掛け(破損)
🪥 洗面所
- □ 洗面ボウル(傷・汚れ)
- □ 水栓(動作・水漏れ)
- □ 鏡・収納(汚れ・傷・動作)
- □ 洗濯機パン(汚れ・排水)
- □ 床(カビ・汚れ)
🏠 バルコニー・その他
- □ バルコニー床(汚れ・傷)
- □ 物干し金具(破損)
- □ 排水口(詰まり)
- □ 給湯器(動作確認)
- □ 分電盤(ブレーカー動作)
- □ インターネット設備(該当する場合)
負担区分の判断ポイント
国土交通省のガイドラインに基づいた、負担区分の判断ポイントをまとめました。
✅ 貸主負担(経年劣化・通常損耗)
- 日照によるクロス・畳の変色
- 家具設置による床のへこみ
- テレビ・冷蔵庫裏の電気ヤケ
- 画鋲・ピンの小さな穴
- 網戸の経年による劣化
- 設備の経年による故障
❌ 借主負担(故意・過失・善管注意義務違反)
- タバコのヤニ・臭い
- ペットによる傷・臭い
- 飲み物をこぼしたシミ
- 掃除不足によるカビ・水垢
- 釘穴・ネジ穴(下地に達するもの)
- 引っ越し時の傷・破損
💡 経過年数による減価
借主負担となる場合でも、入居年数に応じて負担額は減少します。クロス・カーペットは6年、設備機器は6〜8年で残存価値が1円に。長期入居の場合は減価を考慮した請求が必要です。
トラブルを防ぐための5つのコツ
退去立会いでトラブルを防ぐためのコツをご紹介します。
1入居者と一緒に確認する
必ず入居者立会いのもとで確認を行い、損耗箇所をその場で一緒に見てもらいましょう。入居者不在での立会いは、後日「そんな傷はなかった」とトラブルになるリスクがあります。
2写真は日付入りで撮影する
損耗箇所は日付入りで写真撮影し、記録を残しましょう。入居時の写真と比較できると、より客観的な判断ができます。
3ガイドラインに基づいて説明する
負担区分の説明は、国交省ガイドラインに基づいて行いましょう。「ガイドラインではこのように定められています」と伝えることで、説得力が増します。
4その場で金額を確定しない
立会い時に「いくらかかります」と確定金額を伝えるのは避けましょう。「後日、工事見積もりをもとに正式な金額をご連絡します」と伝え、正確な見積もりを取ってから請求します。
5確認書に署名をもらう
立会いで確認した内容は書面に記録し、入居者の署名をもらいましょう。「確認しました」という事実を残すことで、後日のトラブルを防げます。
まとめ
退去立会いは、原状回復のトラブルを防ぐための重要な機会です。事前準備、チェックリストに沿った確認、写真記録、書面での合意が基本です。
入居者と一緒に丁寧に確認を行い、ガイドラインに基づいた公正な判断を心がけましょう。スムーズな退去立会いは、敷金精算のトラブル防止だけでなく、次の入居者募集までの期間短縮にも繋がります。